2000 4月 7日
報道機関各位
ネットワーク音楽著作権連絡協議会事務局


ネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)と社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、
ネットワーク上の音楽利用について暫定合意を6ヶ月間延長



 去る4月3日、NMRCとJASRACは昨年来継続してきた本年4月1日以降のネットワーク上の音楽利用に関する著作権使用料率について、1998年11月の暫定合意に、試聴及び電話機の着信メロディ配信についての取扱いを加えて延長することに合意した。合意使用料率は別紙のとおり。

 NMRCは、本年4月1日以降の使用料率について当初の提案(ダウンロード6%以下)に近づける方向でJASRACと協議をしてきたが、暫定合意以後も音楽のネットワーク配信が軌道に乗っていないという現状に配慮するとともに、暫定合意が失効するとネットワーク上の音楽利用が事実上できなくなることを避けるため、今回の合意でも暫定合意の料率を基準とする枠組みを延長して採用することで合意した。

 配信事業者の立場から見れば、暫定合意の使用料について必ずしも適正な料金とは言えない部分もあるが、一方で、著作権使用料交渉が長期化することで、ようやく社会的な関心が高まっている音楽配信事業が全面的に停滞することで、日本のインターネット配信産業全体の成長にかげりが生じることになり、その結果日本のデジタルコンテンツ産業の健全な発展を阻害する可能性があると認識し、音楽配信事業が停滞しないよう暫定合意を延長することが長期的な視野においては重要であると捉えております。今回の合意は音楽配信ビジネスの発展を促すことを優先した。

 今回の暫定合意の延長は、本年9月30日までとなっており、この間、両者で細部を詰めるための協議を継続する。





【別紙】

インタラクティブ配信のうち有料利用及び試聴に関する暫定使用料

 社団法人日本音楽著作権協会とネットワーク音楽著作権連絡協議会とは、JASRAC提示案(1997年12月2日)及びNMRC提示案(1998年3月12日)のそれぞれの提示案を有する。これらに基づいて合意に至るため継続協議を行ってきたが、今回暫定的に各事業者の事業開始から平成12年9月30日までの間は、以下により算出した額に消費税相当額を加算した額を月額使用料とすることで暫定合意する。


  1. ダウンロード形式
    月額利用単位使用料は、以下のいずれか契約時に選択し、算出した額とする。

(1) 1曲リクエスト1回当たりの情報料の7%に月間の総リクエスト回数を乗じた額、又は1曲7円に月間の総リクエスト回数を乗じた額のいずれか多い額
(2) 広告料収入がある場合、月間の総情報料収入と月間の正味広告料収入を合算したものに6.75%を乗じた額、 又は1曲7円に月間の総リクエスト回数を乗じた額のいずれか多い額


  1. ストリーム形式
    月額利用単位使用料は、1回のリクエストに応じて公衆送信されるデータが、

(1) 主として音楽著作物のとき
月間の総情報料収入と正味広告料収入を合算したものに3.5%を乗じた額
(2) 一般娯楽等のとき
月間の総情報料収入と正味広告料収入を合算したものに2.5%を乗じた額
(3) スポーツ、ニュース等(音楽著作物が余り含まれないもの)のとき
月間の総情報料収入と正味広告料収入を合算したものに1%を乗じた額
(備考)
  1. ”1.ダウンロード形式”の規定が適用になる場合で、受信先において当該曲データの利用可能な期間又は回数等に制限があるときは、 「7円」を次のとおりとする。

(ア) 利用可能期間が受信後10日以内のものは「3.5円」
(イ) 利用可能回数が1回を超え10回までのものは「3.5円」
(ウ) 2000年1月1日以降の利用につき、携帯電話、PHS等電話機のための総再生時間が1曲当たり45秒以内の着信メロディ再生専用データは「5円」。但し、受信した電話機から他の機器への転送、複製が可能なものを除く。


  1. ”1.ダウンロード形式”の規定が適用になる場合は、その10%の額を月額基本使用料相当額として加算する。 なお、”2.ストリーム形式”の規定及び”備考1.”(ウ)が適用になる場合は、その額に月額基本使用料相当額を含むものとする。

  2. ”1.ダウンロード形式”又は”2.ストリーム形式”のいずれの規定を適用する場合も、消費税相当額を除いた月額使用料が5,000円を下回る場合は、5,000円とする。

  3. ”1.ダウンロード形式”の規定を適用する場合で、リクエスト1回当たりの情報料が定められていない場合は、当該事業者の定める情報料をリクエスト可能回数で除すなどして算出する。

  4. 企業や商品の広告を目的に著作物を利用する場合は、当該著作物の著作者等から事前に同意を得るものとする。 なお、月額使用料は、別途協議のうえ定めることができる。

  5. 映画(著作物のプロモーションを含まない。)、ゲーム等、他の作品の構成部分として著作物を利用する場合は、別途協議するものとする。

  6. 情報料及び広告収入を得ずに、次の(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)のいずれかに該当する試聴を行う場合で予め届け出があったものについては、当該試聴データの総再生時間が1曲当たり45秒以内であることを条件に、使用料を免除することができる。但し、ダウンロード形式による場合は、当該著作物データの再生可能回数が3回以内であることを要する。

(ア) ”1.ダウンロード形式”又は”2.ストリーム形式”の規定が適用となる利用のために、受信者がリクエストを行う画面と同一の画面で当該リクエストの対象となる著作物を試聴させる場合。
(イ) CD等著作物データが適法に収録された商品の販売促進のために、当該商品の販売事業者が、自らのサイトにおいて当該商品に収録された著作物を試聴させる場合。
(ウ) 本協会の会員又は委託者が、自らのサイトにおいて自らが創作した著作物又は本協会に委託した著作物を試聴させる場合。
(エ) 実演家、レコード製作者又はこれらに係る著作隣接権を有する者が、自らのサイトにおいて自ら当該実演、レコードに係る著作物を試聴させる場合。


  1. 掲示板やチャット・サービス上で、日常会話的に行われる曲のタイトルや歌手名の問い合わせにおいて、歌詞の一部が掲載される場合は、使用料を免除することができる。


(用語の定義)
  1. 「インタラクティブ配信」とは、公衆からの求め(リクエスト)に応じて無線通信又は有線電気通信により、コンピュータ等の自動公衆送信装置を用いて著作物を配信すること(ただし、業務用通信カラオケ及び専用端末を用いた家庭用通信カラオケを除く。)をいう。

  2. 「有料」とは、受信者がインタラクティブ配信の受信に当たり、事業者に対し支払うべき対価があるもの、又は配信の対価の有無に関わらず、事業者等がその配信に当たり、第三者から広告料収入を得るものをいう。

  3. 「ダウンロード形式」とは、受信者が著作物データを受信者の装置においてオフラインで再生することを目的とした利用をいう。

  4. 「ストリーム形式」とは、受信者が著作物データを受信者の装置においてオンラインで再生することを目的とした利用をいい、単に画面表示に止まる歌詞、楽譜の利用を含む。

  5. 「曲」とは、歌詞、楽曲、歌詞を伴う楽曲、及びそれらをメドレー化したものをいい、いずれの利用の場合も1曲とみなす。

  6. 「情報料」とは、インタラクティブ配信に応じて支払う金額であるか、会員制等により支払う金額であるかを問わず、受信先において支払うことを必要とする対価(消費税を含まないもの)をいい、いずれの名義をもってするかを問わない。なお、「月間の総情報料収入」とは情報料を月当たりに集計又は換算したものをいう。

  7. 本規定を適用する場合における「正味広告料収入」とは、受信者が当該インタラクティブ配信のリクエスト行為そのものを行うときに、見る又は聞くことのできる広告につき、事業者が広告代理店等に請求する額とし、代理店手数料、制作費等は含めないものとする。なお、「月間の正味広告料収入」とは正味広告料を月当たりに集計又は換算したものをいう。

(取扱基準)
  1. 用語の定義”7”に定める広告のうち、他のコンテンツ(番組、以下同じ)でも見る又は聞くことができるものについては、当該正味広告料収入の報告時に証憑書類を添えることにより、当該広告のすべてのインプレッション(受信者に対する露出回数)に対する当該インタラクティブ配信に係るインプレッションの比率を乗じて得た額を当該正味広告料収入とすることができる。

  2. 原則として月額使用料の算定は、”1.ダウンロード形式(1)、(2)”、”2.ストリーム形式(1)、(2)、(3)”それぞれの規定の区分毎に行う。但し、規定の区分毎に情報料又は広告料収入を報告できない場合は、報告できない区分に限り、同一区分のコンテンツの数にかかわらず、該当する異なる区分の数で案分した収入をもとに各区分の月額使用料を計算する。なお、音楽著作物を利用していないコンテンツが当該収入に含まれる場合は、その数にかかわらず、案分する区分の数に1を加える。

  3. インタラクティブ配信を行う期間が一ヶ月に満たない場合、規定備考”3.”の5,000円は1日当たり1,000円とし、月間の上限を5,000円とする。




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